沖田修一

映画「キツツキと雨」で監督を務めた沖田修一は、愛知県生まれ、埼玉県出身の映画監督です。2001年に日本大学藝術学部映画学科撮影・録音コースを卒業し2002年に短編映画「鍋と友達」で監督デビュー。同作が、第7回水戸短編映画祭グランプリを受賞し話題となります。2006年「このすばらしきせいかい」で初めて長編映画を手がけ、2009年「南極料理人」で商業映画デビューを飾ります。この作品でその年に最も優れた新人映画監督に贈られる新藤兼人賞金賞を受賞し、注目の若手映画監督として数々のメディアに取り上げられるように成ります。この映画では、その他に第1回日本シアタースタッフ映画祭監督賞や第29回藤本賞新人賞を受賞しました。

このすばらしきせかい

「このすばらしきせかい」は、2006年に公開された沖田修一監督の長編映画デビュー作です。東京郊外に住む菊池家の長男・涼一は、高校で同級生に怪我を負わせてしまい、それがきっかけでひきこもり生活を始めます。幸い両親は涼一に関心がなく、いつも忙しくてほとんど家にいないため、涼一はテレビゲーム三昧の毎日を送っていました。食事は父が置いていく千円札でまかない、ゲームをしては眠るというほとんど一人暮らしのような生活を送る涼一のもとに、ある日叔父の清がやってきます。清は職も家も失いお金も無いため、菊池家に居候するというのです。こうして清と涼一の奇妙な共同生活が始まります。絵に描いたようなダメ人間の清を、初めは疎ましく思う涼一でしたが、一緒に競馬に行ったり、「歯のざらざらを治したい」という清に付き添って歯医者に行ったりと行動をともにするうちに、だんだんと清の魅力に引き込まれていくのでした。何か事件が起こるわけでもなく、大爆笑も泣けるシーンもなく、坦々と二人の奇妙な姿を描いている人情コメディです。

キャスト

  • 菊池涼一・・・畑敬志
  • 田辺清・・・古舘寛治
  • 久美子・・・大崎由利子
  • 聡子・・・兵藤公美
  • 昌介・・・志賀廣太郎
  • 横田・・・安村典久

スタッフ

  • 監督・脚本・・・沖田修一
  • 製作・・・荒木孝眞
  • 撮影・・・大目象一
  • 音楽・・・澤口希、荒井のりたか
  • 録音・・・吉村健作
  • 照明・・・鈴木昭彦
  • 衣裳・・・山田千晴
  • 助監督・・・荒船泰廣、守屋文雄
  • スチール・・・室園淳、石野朝子

南極料理人

「南極料理人」は2009年に公開された日本映画です。原作は海上保安官出身の西村淳のエッセイ「面白南極料理人」です。主人公の西村淳は海上保安庁の管轄する船で料理人として働いていました。しかし、ひょんなことから南極へ料理人として派遣されることになってしまいます。妻と子供を残して、遠い南極の地、しかも昭和基地から1000キロも離れた場所へやってきた西村。そこには8人の隊員たちが、お腹を空かせて彼の到着を心待ちにしていたのでした。南極という様々な制約を受ける土地で、限られた食材を工夫して美味しいご飯をつくる西村。変わり者の隊員たちを飽きさせないメニューを作るため、彼は今日も奮闘するのでした。この映画は、原作者の西村淳さんの出身地である、真冬の北海道網走市で撮影されました。

キャスト

  • 西村淳・・・堺雅人
  • 本さん・・・生瀬勝久
  • タイチョー・・・きたろう
  • 兄やん・・・高良健吾
  • ドクター・・・豊原功補
  • 西村の妻・みゆき・・・西田尚美
  • 主任・・・古舘寛治
  • 盆・・・黒田大輔
  • 平さん・・・小浜正寛
  • 西村の娘・友花・・・小野花梨
  • 鈴木・・・宇梶剛士
  • 船長・・・嶋田久作

スタッフ

  • 監督・脚本・・・沖田修一
  • プロデューサー・・・西ヶ谷寿一
  • 製作・・・太田和宏、川城和実、春藤忠温、町田智子、近藤良英
  • アソシエイト・プロデューサー・・・河野聡
  • 原作・・・西村淳「面白南極料理人」
  • 撮影・・・芹澤明子
  • 編集・・・佐藤崇
  • 美術・・・安宅紀史
  • 音楽・・・阿部義晴
  • フードスタイリスト・・・飯島奈美、榑谷孝子
  • 照明・・・豊見山明長
  • 録音・・・永口靖
  • 衣装・・・小林身和子
  • スクリプター・・・田口良子
  • 音響効果・・・佐藤祥子
  • ヘアメイク・・・根本佳枝
  • 助監督・・・海野敦
  • ライン・プロデューサー・・・金森保
  • アシスタント・プロデューサー・・・西宮由貴
  • VE・・・鏡原圭吾
  • 装飾・・・寺尾淳
  • 制作担当・・・刈屋真

横道世之介

「横道世之介」は。吉田修一による同名小説を映画化した作品です。2013年2月に公開されました。舞台は1987年。主人公の横道世之介は、長崎県の港町出身の18歳。大学進学のために上京したばかりの田舎者です。性格は、どこか図々しく、しかし人の頼みを断れないお人好しで、皆から好かれていました。大学で出会った友人・倉持や世間知らずの社長令嬢・祥子、年上で憧れのお姉さんである千春、女性に興味がない同級生の加藤など、たくさんの友人に囲まれて青春を謳歌するのでした。撮影は東京都内近郊と長崎県で行われました。また、主演の高良健吾と、ヒロイン祥子役の吉高由里子の2人は2008年公開の映画「蛇にピアス」以来5年ぶりの共演となりました。キャッチコピーは「出会えたことが、うれしくて、可笑しくて、そして、寂しい―。」でした。

キャスト

  • 横道世之介・・・高良健吾
  • 与謝野祥子・・・吉高由里子
  • 倉持一平・・・池松壮亮
  • 片瀬千春・・・伊藤歩
  • 加藤雄介・・・綾野剛
  • 阿久津唯・・・朝倉あき
  • 大崎さくら・・・黒川芽以
  • 小沢・・・柄本佑
  • 戸井睦美・・・佐津川愛美
  • 与謝野佳織・・・堀内敬子
  • 与謝野広・・・國村隼
  • 室田恵介・・・井浦新
  • 横道洋造・・・きたろう
  • 横道多恵子・・・余貴美子
  • 石田健次・・・大水洋介
  • 清寺由紀江・・・田中こなつ
  • 小暮京子・・・江口のりこ
  • 前原・・・ムロツヨシ
  • 加藤の相方・・・眞島秀和

スタッフ

  • 監督・・・沖田修一
  • 脚本・・・沖田修一、前田司郎
  • 音楽・・・高田漣
  • VFXスーパーバイザー・・・オダイッセイ
  • 協力・・・法政大学

その他の作品

短編映画

  • 2006年 ライフ・シネマティック 映画的人生「進め!」
  • 2010年 シティボーイズのFilm noir「俺の切腹」

ドラマ

  • 2008年「後楽園の母」
  • 2008年「青梅街道精進旅行」
  • 2008年「リバーサイド入口」
  • 2012年「イロドリヒムラ『日村大岩』」

日常を上手に切り取る

沖田監督の映画はどれも、何か大きな事件が起こったり、主人公に劇的な変化が起きたりといったことが無く、その世界に生きる登場人物たちの日常が切り取られた作品が多い気がします。温かく流れる時間と、個性的でコミカルな魅力溢れる登場人物たちに、いつの間にか映画に引き込まれているんです。まだ長編映画は4本しか撮っていませんが、どれもとても好きな映画です。南極料理人ではエビフライのシーンで大笑いして、から揚げのシーンでちょっとほろりとして。横道世之介では、祥子さんの天然っぷりに心が温まり、世之介が辿った運命にいろいろと考えさせられたり。どちらも自信を持ってオススメできる映画です。これからも沖田監督らしい映画を撮り続けてほしいですね。